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2012年11月8日版 1面 １面 No.03

　▼大手企業のネット通販参入が相次いでいる。今年度、資生堂やカネボウ化粧品、エステーが通販を開始。ミクシィやフェイスブックも今秋、物販に乗り出した。１３年１月には三菱食品が子会社を通じて参入する。来春にはリクルートグループがＥＣモールを開設する計画だ。
▼新規参入の増加に伴い競争は激化。ＥＣ企業のＣＰＯ（１人当たりの新規顧客獲得コスト）は悪化傾向にある。本紙が７月に実施した意識調査では、回答したＥＣ企業の過半数が広告費を「負担」と感じており、その理由として最も多かったのが「従来と比べて広告の費用対効果が悪化している」というものだった。
▼価格競争や際限ない広告費投下という消耗戦から脱却するため、対面営業やイベントを通じて顧客獲得に取り組むＥＣ企業が目立ち始めた。化粧品通販の、あきゅらいず美養品は、広告やダイレクトメールの費用を減らす一方、顧客や地域住民と交流するイベントを増やしてファン作りに取り組んでいる。１１月３日には東京・三鷹市の本社で文化祭を開催。地域の飲食店やサークルなどが出店し、顧客や地域住民などを招いて交流した。社員食堂を毎日開放しているほか、本社のフリースペースを地域のサークルに貸し出すなど、日頃からリアルな交流を行っている。
▼住宅設備を販売しているアンシンサービス２４は、蛇口交換など小額の受注でも必ず現地調査に訪問する。担当者が営業から工事、アフターフォローまで行い、分業はしない。非効率に見える営業方法を採用している理由は、担当者が顧客と信頼関係を築き、「御用聞き」のような存在になるためだ。将来は住宅設備の販売に限らず、買い物や雪かきなどの受注も視野に入れている。
▼２社は、リアルな交流をベースにした人間関係で差別化している。人間関係の構築は手間と時間がかかる分、簡単にまねできるものではない。価格競争を避けるためのポイントになるかもしれない。